Haishakkei Art Award 2015 の2日目。
この日のハイライトは野口竜平くんのパフォーマンスでした。
彼は庭と土間を使ったインスタレーション作品を展示していますが、展覧会期間中旅をして拝借景に手紙を送るという試みも計画していて、この日旅立っていったのです。
それは「今から5分くらいのパフォーマンスをやります」
という言葉で始まりました。
今から出発する旅の宣言。
「ニューヨーク方面」と掲げ、ヒッチハイクの旅をする。
夜はテントを張って寝る。
一日2通の手紙を拝借景に送る。
そして出発していきました。
初めて生でヒッチハイクを見たけど、野口くんの踏み込みはすごいです。
写真じゃわからないけど、結構なスピードで走っている車に「ニューヨーク方面」を思いっきり突き出してて、「大丈夫かよ!?」って言ってしまうくらい。
そして!
1台の車が止まってくれ、そのまま発車!
けっこう感動。
「あいつはただ者じゃない」とか話してたのですが、
30分程したらなぜか戻ってきました。
ドライバーの人と話してるうちに、いつのまにか戻ってきたのだとか。
何それ!
やっぱりただ者じゃない。
そして再び旅立っていきました。
彼はこの後、下ろされた場所からまた「ニューヨーク方面」を掲げヒッチハイクをしていくことを繰り返していきます。
どこに行くのかは全くの運まかせの放浪の旅になるのでしょう。
野口くんはムサビの卒業制作の作品もすごくエネルギーを費やしたものでしたし、作品にまつわるエピソードも常軌を逸しています。今回も庭と土間を目一杯使い切った展示をし、さらに拝借景を飛び出し「ニューヨーク方面」という言葉を相手にぶつけることでその空間の変化を作り出す、「旅」というパフォーマンスに挑戦していきました。
ほんとにただ者じゃない男です。
これからは拝借景に届く一日2通の手紙だけが彼の場所や状態を知る術になります。
その手紙は作品として順次彼の展示に追加されていきます。
野口くんの手紙は、一風変わった旅行記になるのか、それともアツい芸術になるのか。
私たち見る側は、彼の行為と手紙をどう解釈しどう判断するのか。
それを確かめに拝借景にきてください。
市川ヂュン