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デコ借景を振り返って。山内さん、飯島さんの視点。
2015年ももうすぐ終わりですね。
みなさま今年もお世話になりました。
そして来年も宜しくお願いします。

2015年11月に開催された「デコ借景」に深く関わった山内さん、飯島さんからデコ借景を振り返って文章を寄せていただきました。

 


MC:山内祈信さんの視点

「デコ借景」展を振り返って

 私は、拝借景に住んだ始めの住人ですが、2007年に借り始めたころは、まさか住むための場所がこんなのになるとは予想もできませんでした。この家を選んだのは、私の生まれ育った岐阜市長良雄総でちょうどこんな古めの家に住んでた記憶が脳裏にちょこっとだけあったからです。もちろん、どっぽん便所でしたし、古さや雰囲気がなんとなくリンクしたのでした。その家には小さな庭がありました。それは日本庭園が庶民的になった感じで、暗くてじめっとしたお庭だった気がします。

 
 拝借景に関わる人はだいたい飲み仲間でした。飲み会に使われる家が拝借景というだけで、お世辞にもきれいとは言えないし、色んな虫や生き物が絶えず出没するし、お金を出して借りているのに外みたいな内側なのでした。シェアしていた住人も全然部屋を片付けないし、ごみばかりが大量に溜まるし、酒瓶や発泡酒の缶は増えはするけど誰もゴミ捨ての日には出しに行かないし、住居としては落第点ですよ。私は学生の当時、朝早く制作をしに行きたかったから、夜はすぐ寝たいのだけど、シェア住民が毎日のように飲み友達を家に呼ぶからぜんぜん寝れませんでしたよ。なので、拝借景というのは、最近アーティスト・ラン・スペースという格好のよい呼び方を思いついたとしても、本質的にはじめっと陰湿で、発泡酒のシミが消えることのない、半分屋外みたいな借家でしかないのだと思います。せっかく家を改修するにしても、もしかして、デザイナーの集まる家だったら、建築家の集まる家だったら、きっと機能的でおしゃれできれいな住居になったのかもしれません。でもそうはならず、それを求めず、おもしろい方へと、変で楽しい方へと改修は進められました。

 
 前置きが長くなりましたが、だからこそ家が意思を持つ可能性があるのではないでしょうか。新しくきれいなものに果たして意思が宿るかというと、そうではないと思うのです。それは、じめじめして、汚くてなにかわけのわからないもの・場所に宿るものだと思うのです。今回の「デコ借景」展で、私たちは、拝借景という借家が意思を持った体での展覧会を運営してきましたが、拝借景が好きかと問われれば、そこまで好きかわかりませんし、正直きれいな家に住みたいし、プライベートも欲しいし、もしかしたら家としては好きじゃないかもしれません。でも、人口一億人を超える日本で、あんな風変りな家が、アート文脈で一躍のし上がってやろうともくろむ誰かにとっての道具としての家が、住んでないにも関わらずいろんな誰かに思われている家が一軒くらいあってもいいのかなとは思いました。そんな家が、今後どんな方向性で進化するか、退化するかわかりませんが、どちらにしても、ああいうスペースが根源的に時代に必要とされている気もします。とりあえず言えることは、「シルバーサタン」を見習って、もうちょっときれいにしてもいいんじゃないかなと思います。


MC: 山内祈信





 




オープンスタジオ実行委員長:飯島悠介さんの視点

デコ借景 in オープンスタジオ取手2015を終えて

今回の拝借景の展覧会「デコ借景」の大元となるイベント『オープンスタジオ取手2015』の企画・運営を行わせていただいた実行委員会の飯島悠介です。まずは無事に「デコ借景」をはじめとした「オープンスタジオ取手2015」の全てのイベントが終了出来たことに対して、あらためて関わっていただいた全てのみなさんに御礼を申し上げます。

アート体験ツアー3本・トークイベント2本・拝借景による展覧会1本と、取手のアートを体感できるイベントを堪能いただけたでしょうか?アート体験ツアーにご参加いただいた方々からは、こんな身近なところにアートがあったんだ!もっと目に見えるカタチで地域にアートが欲しい!などなど、様々なリアクションをいただきました。この地域に暮らす人々にとって関心はあれどとっつきにくくもある”アート”の敷居を少しでも下げられたとしたら実行委員会としても大きな喜びです。

僕が東京からこの地域に戻ってきて6年目になりますが、取手にあるアートスポット・アーティストからはたくさんのエネルギーとしなやかな感性をいただいてきました。取手で制作するアーティスト・地元の作家さん、文化住宅を拠点とした発表の場でありコミュニティであり生活空間である拝借景、ギャラリーのあるカフェ/バーetc、一つずつが強烈な色彩を放つそれらを、地域という面で見せることができないか、それを通じてアートを取り巻く環境にさらなる新陳代謝を起こせないか、ということで企画させていただいたのが『オープンスタジオ取手2015』です。

アートってなんだろう。

それは普段の暮らしの中で心を豊かにする道具でもあり、ときにコミュニティの想いを代弁するものであり、ときに地域課題を解決するための一つの手段であり、はたまた地域の営みや背景・歴史の積み重ねを一瞬にして現す手法でもあるかもしれません。アートとは何か?これはみなさんに投げかけた問いでもありますが、今回の「オープンスタジオ取手2015」を通じて体感したかったのは僕自身であったかもしれません。そしてイベントを終えて感じられたことは、アートは“人”であるということでした。

今回の企画を通じてアーティスト・作家のみなさんと何度も意見・想いを交換し、そのアーティスト・作家が何を想い・どのように作品に対して向き合っているのかということを知ることができました。アートを通じて社会・地域と向き合っている作家、どうしようもなく制作したいという衝動をカタチにしている作家、チームとなり現代のアートシーンに対して(表向きは)軽やかに立ち振る舞っているアーティスト集団など。作品をつくり・現すことを通じて、普段の暮らしに潤いや違和感や興奮といったインパクトを与えようとする作家そのものの生の姿が作品に宿り、表現されていく様を実感することができました。

そして、今回『オープンスタジオ取手2015』の趣旨にいち早く賛同してもらい、多少の紆余曲折はありましたが、独自の展覧会をぶつけるカタチでしっかりと応えてくれ、準備段階から展覧会までの間に、アートが持つエネルギー・魅力を実際に表現して見せてくれたのが、取手の地域に留まらず独自の存在感を示し続けるアーティストランスペース『拝借景』のみなさんでした。

”取手にデコトラの特許を持つ人がいるらしい”という、吹けば飛ぶようなあいまいな情報を起点に立ちあがった今回の展覧会「デコ借景」。60人近くの作家が作品を出品し、拝借景に搬入・インストールされていく様子を見てきましたが、あきらかに日に日に“熱”を帯びていく様を感じ、興奮したのを覚えています。拝借景に縁のある作家・アート愛好家・地域の方々による史上最高人数の展覧会。それだけでも十分パワフルなのに、11月29日(日)にはデコトラ業界でレジェンド・神様と呼ばれる『シルバーサタン』号を招へいし、取手市井野の閑静な住宅街にデコレーション戦争が勃発しました(笑)。トークイベントのために取手に来訪していた青森県の十和田市現代美術館館長の藤浩志さんも、デコレーションでは拝借景の大先輩にあたる「シルバーサタン」を見て何度も“スゲェ!”と繰り返していたのが印象的です。よっしゃあでしたね!

今回、アートというものの持つエネルギーを気持ちよく発揮してくれた拝借景のメンバーには「オープンスタジオ取手2015」で実現したかったことを、予想を大幅に上回って実現してもらったことに対して心から感謝を申し上げる次第です。

また、飯島自身初めてのアートイベントの企画・運営にもかかわらずしっかりと向き合ってくれた拝借景のみなさんをはじめ、参加していただいたスタジオ・アトリエ・カフェに関わる作家さん・みなさんには心から感謝しています。また搬入や設営はほとんど手伝えませんでしたが、「デコ借景」の企画を一緒に立ち上げ、来場した多くのお客さんが感嘆する姿を見ることができ、感動を共有できたことは僕の大きな財産です。そして今回「デコ借景」を通じて、拝借景メンバーが新たな経験を得ることができたとしたら、次に拝借景から飛び出してくるものを一人の拝借景ファンとして楽しみにしたいと思っています。

最後に、展覧会の成功に向けて尽力してくれた山内祈信mc、大塩博子さん、藤林悠さんをはじめとした拝借景のメンバーのみなさん、変わりモンの集まりの拝借景に対してご理解とともにイベントの開催を陰ながら支えていただいた近隣住民のみなさん、今回の展覧会趣旨に賛同して出展してくれた作家のみなさん、そして大きな寛容の眼差しで温かく見守ってくれた大家さん、物心両面でイベントを支えてくれた取手でのオープンスタジオの先駆者:取手アートプロジェクトのみなさん、陰ながら支えていただいた取手市役所の担当課のみなさん。拝借景展覧会「デコ借景」に関わった全てのみなさんに感謝と御礼の意を伝えさせていただき、実行委員会の挨拶とさせていただきます。



オープンスタジオ取手実行委員会
実行本部:まちなかコーディネーター・トリアウテ
事務局:飯島悠介









 


 


 


 
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